こえのおと

進みの遅い声優の情報ブログ

山本寛ことヤマカンがWUGを買い戻すと言ったことについて思うこと

アニメ監督の山本寛Aniumというサイトのインタビュー記事でWUGを買い戻すつもりだということを述べた。

山本:実は今、『WUG!』を買い戻そうとしています。今、既に水面下で粘り強く交渉しているのですが、単に、僕は自分の生み出した“作品”を自分の元に戻したい。それだけです。

WUGの解散騒動について簡単に書いておくと、WUGはそもそも東日本大震災の復興の一環として仙台を舞台にして山本寛により製作されたアイドルアニメ、および同名の声優ユニットである。2012年9月に81プロデュースavexが共同でオーディションを行い結成されたが、2016年末に山本寛の手を離れた。その後2018年6月に解散することになるのだが、その解散理由はavex田中宏幸プロデューサーが退職して現在サイバーエージェントに所属していることが関係していると言われている。

ヤマカンにとっては奪われる形となった(と自分で述懐している)ため、奪い返そうと計画しているのだろう。そのために仮想通貨によるクラウドファンディングICO)による資金調達も考えているらしい。

WUGのメンバーはどうなるのか?

ヤマカンはWUGの初期メンバー*1には興味がないらしい。

ー 例えば、もう一度『WUG!』を何らかの形によって続けることができたとします。その場合、制作陣も大幅に変更されることが予想されますが、キャストが変更しても問題ないということでしょうか。
山本:そこには、あまり興味がないです。もちろん今まで僕が面倒を見てきた7人に対して愛情がないわけではないですが、最初に述べたように「辞めたいなら辞めれば?」ということだけなので、そこに固執はしていないです。
(中略)
和田:キャストに関して同じメンバーが再結集というのは、難しいことかもしれないですが、山本さんが「もう一度、彼女らにお願いしたい!」って頼まない程度なら、彼女らの活動も思いも中途半端だったのではないか、というのが僕の意見です。

ヤマカンがこう冷たい態度を取るのも、彼はそもそもWUGのメンバーがWUGを辞めたがっているのではないかと考えていることにあるのだと思う。Aniumによるインタビュー連載記事の第一回を見ると

山本:(前略)ただ、公式ホームページ等のプレスリリースには、彼女たちの解散理由が書かれていますが、今回のWUG!の解散について、かなりの確率で“彼女らキャスト・声優陣がWUG!をもう辞めたがっているのではないか”というのが僕の見解です。

と述べている。またLINEを送っても既読スルーされているという。ただし、そうなったのは7人のメンバーが悪いのではなく、悪い大人に「ヤマカンは酷いやつだ」と吹き込まれたせいだろうと推測している。

もし買い戻しに成功したとして、メンバーが変更になるのは、ヤマカンの自由なので外野があれこれ言う必要はないと思う。ヤマカンの言葉を借りれば「変えたいなら変えれば?」といったところだろう。声優陣もヤマカンの想像している通り、WUGを続けたがっているとは思えない。

ただアニメスタジオTwilight Studio inc.で代表取締役を務める和田浩司の意見は、流石に彼女たちに酷すぎる。今まで一生懸命WUGのメンバーとして頑張ってきたのに、「ヤマカンが頼まないなら、彼女らが中途半端」はあまりにヤマカンを崇拝しすぎている。ヤマカンが頼まないのなら、ヤマカンの彼女たちに対する思いが中途半端なのであり、彼女たちの思いが中途半端なのではない

そしてもし彼女たちの思いが中途半端なのだったら、それはアニメに監督でもあるヤマカンの所為でもある(もちろんavex側のプロデューサー陣のせいでもある)。それを棚に上げて年端のいかない女性に全責任を負わせるのは情けなさすぎる。余談だがインタビュー記事での和田浩司氏のイエスマンぷりにはちょっと閉口してしまう。

ヤマカンがWUGに求めること

連載記事の第1回ではヤマカンがWUGの元メンバーに求めることが書いてある。

プロとしての終わらせ方、社会人としてけじめの付け方を見せる必要があるんじゃない?終わらせ方はちゃんと考えないといけないんじゃない?

一人のプロとして現場に関わったのであれば、もちろん一人の社会人としても自分の言葉で説明して欲しかった。
でなければ、
君たちにとって声優という職業も、アニメ作品に出て、メディアに出て、ファンに一通りチヤホヤされれば、それがあなたたちにとってのゴールなんでしょ?
と思われても仕方がないですよね。

前者は、それを彼女たちに要求するのは難しい。声優は結局のところ雇われであり、上の命令に逆らうことはできない。そのためヤマカンもWUGの7人ではなく、周りの大人が悪いと考えているのだろうが、そうであれば声優に対してではなく、avex81プロデュースなどの事務所に公に抗議すべきである。

後者に関しては、声優に対して高望みしすぎだと思う。いま声優を目指している人の大半はチヤホヤされたいからが理由だと思う。もちろん子供達を笑顔にしたいとか殊勝な声優もいないわけではないと思うが、自己顕示欲がある程度強くないと芸能人にはならないし、承認欲も強いだろう。

ヤマカンの理想論

この声優に求める理想もそうだが、ヤマカンは理想が物凄く高い。インタビュー記事でも、製作委員会の問題点や、ファンのレベルが低すぎて啓蒙していかなければならないと説いているが、実際のところ無理だろう。

山本:製作委員会は普通にスポンサーとして、黙ってればいいんです。金だけ渡して、「あとは頑張れよ!」くらいでいいはずなんです。金を出す出さないだけは自由です。乗れないなら出さなくていい。それが、「俺らがアニメを作るんじゃい!」と何か勘違いした製作委員会の連中が、その勘違いを引きずり続けた結果、製作委員会の存在意義を見失った。根本的な存在意義を理解できなかった。元々はクリエイターとお金のつなぎ役として機能していたのが、今は金だけ持ってクリエイター気取りで頓珍漢な口出しをしている。大した額も払ってないのにですよ?どうしようもないですよ本当に。

結局のところアニメに限らず、今の日本は商業主義的であり、金が発生しないところには何の支援もされない。ヤマカンの理想が実現されるためにはアニメ業界だけでなく、日本全体を変革していく必要がある

ただ漫然として金を稼せげばいいや精神よりも、そういう気持ちを持つのは大事だとは思う。ヤマカンは世間からはめっぽう叩かれているが、発言自体は半分くらいは示唆的なことを言っている。先日も「残酷な天使のテーゼ」を厨二病だと言って、それに嫉妬だと反論した作詞家の及川眠子を批判して喧嘩になっていた。

及川眠子の嫉妬しているという反論は全くの的外れで、ヤマカンは詞の内容について発言したのに売れているかどうかは関係がない。芸術分野に関しては売れる売れない以外の批評があるべきであり、売れてるから偉いというものではない。しかし結局自分もかんなぎのCDの売上を持ち出して売上勝負に持ち込み、最後は日和って「実は『魂のルフラン』は大好きな曲だ。こっちがアニソンの頂点ならば文句はない。」と言ってしまう。

クリティックは重要だと思う。アニメや声優にはそういう批評家のような厳しい立場の人間が少なかった。批評するなら自分の意見をしっかり持って欲しい。今回のWUG買い戻しも、製作委員会の問題も言ったからには最後までやり遂げて欲しい。話題になったから終わりじゃ結局、ヤマカンの批判する人たちと同じだろう。