なぜアニメ発の声優ユニットの実写MVは少なくなったのか?

アイドル系コンテンツを除いて、声優ユニットの組み方は、事務所ごと、ラジオの共演者、ゲームのユニットなど様々なものがあるが、その中でもメジャーなものの一つが、アニメの主要キャストメンバーで組むというものだろう。放課後ティータイムも、七森中ごらく部も、ローダンセも、ロウきゅーぶもそれに当てはまる。

声優ユニットを組んだときにかつては、中の人の実写MVが制作され、CDの特典にされるということがよくあった。前述したアニメ発の声優ユニットの中では七森中ごらく部、ローダンセ、ロウきゅーぶが実写MVを作っていた。ところが、最近は声優の実写MVがめっきり減った。現時点における2021年のアニメで、声優の実写MVが存在したアニメは、私の把握している範囲では『ワンダーエッグ・プライオリティ』だけしかない。ひと昔前なら『五等分の花嫁』や『アイドリープライド』なども実写MVを制作していてもおかしくなかったように思う。

声優ユニットを組むのはきららアニメが多いが、そのきららアニメも『恋する小惑星』『球詠』『おちこぼれフルーツタルト』など、声優の実写MVが制作されていない。『ご注文はうさぎですか?BLOOM』は、第1期ではPetit Rabbit’sとして実写MVが制作されていたが、それ以降は主題歌は担当しているものの、制作はされていない。きららアニメの最新の実写MVは、2018年放送の『スロウスタート』のSTARTails☆による「ne! ne! ne!」まで遡る。

かつては『キルミーベイベー』ですら、声優の実写MVを作っていた狂気の時代があったのに、なぜアニメ発の実写MVはここまで廃れてしまったのだろうか?

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アニメ発声優ユニットの実写MVの魅力

本題に移る前に、アニメ発の声優ユニットの実写MVの魅力を少し語りたい。声優ユニットの実写MVの魅力はB級っぽさにあると思っている。特にアニメの声優ユニットのMVは言わばおまけに過ぎないわけだから、当然ながら低予算になる。そこでどうやって1曲の4分ほどの尺を埋めるかという話になるわけだが、予算が少ないので、あまり大掛かりな舞台やロケなどはできない。

そのために、声優ユニットの実写MVの多くは、教室などの部屋で踊るだけというものが多い。CDにつくMVの媒体は大抵DVDだからか、画質もなんだか荒い。映像としては、なんとも言われぬ味わい深いものになっている。そのチープさが、こころをくすぐる

予算をかけられないから必然的に制作には工夫を凝らすことになる。動画がなくてここには貼れないが『いぇす!ゆゆゆゆるゆり』ではスピーディーな場面転換が多用されていてMVに疾走感があるし、ローダンセの『Jumping!!』では、エフェクトが画面を埋め尽くしてゴージャス感を出している。

チームハナヤマタ『花ハ踊レヤいろはにほ』は、声優MVとは思えないクオリティーの高さと、今は売れっ子声優たちの艶めかしい裸足姿が見られる貴重な映像になっている。アニメ発声優ユニットMVでは、アーティスト活動をしていない声優のダンスを見ることができるというのもポイントで、Petit Rabbit’s『Daydream cafe』では佐倉綾音さんのダンスが拝める。

なぜアニメ発声優ユニットMVは減少してしまったのか?

閑話休題。では、なぜアニメ発声優ユニットMVは減少してしまったのか?

そもそも声優ユニットが歌う機会が減った

まず最初に考えられるのは、声優ユニットが主題歌を担当する機会が減ったという可能性だろう。具体的な数を調べたわけではないのだが、最近は隙あれば声優がアーティストデビューするため、女の子数人が登場するアニメでもそのうちの1人に、主題歌を担当させるケースが増えている。典型的な例では、メインキャストには入らない声優が主題歌を担当することが多い(『無能なナナ』の富田美憂や『俺を好きなのはお前だけかよ』の斉藤朱夏など)。

売れるかどうかわからない声優ユニットを作るよりも、ある程度ファン数が分かっている人気声優をソロデビューさせるほうが確実性が高く、実入りがいいため、このような方式が取られていると考えられる。

コストパフォーマンスが悪い

低予算とはいっても当然MVの制作にはコストがかかる。スタジオ代や人件費は当然のことだが、衣装代なども安くはない。衣装はそのアニメが売れれば、ライブやイベントなどで使用できる機会があるだろうが、売れなければ1回ものになってしまう。そして、頑張って声優MVを作ったからと言って、CDの売上やアニメの人気に特に影響があるわけでもない

私は一時期別に好きでもない曲のアニメ主題歌のCDを実写声優MV目当てに買っていたこともあったが、そういう人は極めて稀だろう。販促につながらないのなら、特に作る必要もないというのは当たり前の結論だと思う。

まとめ

よくよく考えると、アニメ発の声優ユニットの実写MVが廃れて当然だった。でも、実写MVは新人声優のお披露目の場としてはすごくメリットがあると思う。新人声優がメインキャストを演じても、声優自体に興味がない人は、わざわざキャストの情報などを求めに調べるということはしない。だけど、実写MVを作って受動的に見させる機会をつくれば、その新人声優に対して興味が出てくる人もいるはずだ。それは、外見からということになるが、別に外見から声優を好きになったって構わない。

『ワンダーエッグ・プライオリティ』のアネモネリア「Life is サイダー」は全員ソニー系の声優なので、それを期待して制作したということもあるのではないか。声優ユニットの実写MV愛好家としては、ぜひ復権を期待したい。

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