推し声優の恋人発覚や結婚報告で本当のファンは祝福しなければならないのか?

今をときめく人気女性声優の鬼頭明里さんと、これからの活躍が期待される新人男性声優の保住有哉さんの交際疑惑が週刊文春によってスクープされた。声優業界的にはかなり大きいニュースで、その日の夜は声優オタクたちの話題をかっさらった。週刊文春も憎らしいことに、しめしめと思っていることだろう。

さて、こういう声優の交際疑惑や結婚報告が出ると、よく聞かれるフレーズがある。それは「推し声優に彼氏(彼女)が出来たんだから祝福してやるのが本当のファンだろう」とか「推し声優が好きな人と結ばれたんだから本当のファンなら喜ばしいこと」という声だ。これに反論する人がいると「自分が可能性あるとでも思ってたの?」という返しが必ず来るので、迂闊に反論できないのだけど、ただこのフレーズはちょっとモヤッとするところがある。それを考えてみたい。

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声優の微妙な立ち位置

推しに恋人ができて最も大きな問題となるのは、アイドルの場合だろう。アイドルは「夢を売る」だの「元気を与える」だの言ってはいるけれど、やっぱりメイン(というかお金を落とす層)は疑似的な恋愛を楽しんでいる層だと思う。実際にグループに恋愛禁止を掲げているところも多いし、交際バレで活動休止などに追い込まれるケースがたくさん見られる。

アイドルはコロナ禍でかなり減ったものの、接触イベントも多いので、親近感を感じやすい。私はアイドルの接触イベントに参加したことはないけど、女性経験には人一倍乏しいことを自負しているので、たぶん笑顔で微笑みかけられて、手を握られて優しい言葉をかけられたら好きになってしまうと思う。何回か通えば、アイドル側から認知されることもあるので、さらにのめり込んでいく。アイドルが交際バレしたときに「推しに恋人がいたんだから祝福しろよ」って言ってるファンは(同性のファンを除いて)まずいないと思う。強がりで泣きながら言ってる人もいるかもしれないけど。(結婚後もアイドルを続けているグループもいるにはいるが少数派。)

一方で、俳優や歌手やモデルの場合は、恋人ができたとか結婚したとかでさほど問題になることはない。むしろ恋愛経験の少ない人ほど奇特がられる。結婚や交際バレして、ショックを受けた人が多そうなのは、強いて言えば、福山雅治とか堀北真希とか新垣結衣とか本田翼とかそのくらいだろうし、あくまでネタとして言っている人がほとんどで本気でショックを受けてる人は少ないと思っている。

アイドルは親近感があって自分に近い立ち位置だから疑似恋愛の対象になりやすく、俳優や歌手などは別の地平にいる人たちという認識が強いので、疑似恋愛の対象になりにくく、結婚しようか交際しようが問題は起こらない。本田翼の場合はYouTubeでゲーム実況をしていたというのが、他の女優よりも「こっち側」だという意識がファンの中であったと思う。

では、声優の場合はどうか。声優は名前の通り「声の芝居を職業とする人」であるから、カテゴリー的には俳優に入るかもしれない。しかし、アイドルのような曲を歌ったり、写真集を出したり、サイン会やオンライントーク会をしたりと、やっていることはアイドルと遜色ない声優も多い。一般的にドル売り声優と呼ばれている。百合営業やぼっち営業をする声優は最たるものだろう。

ガチ恋になってしまえば祝福は当然できない

私も声優の接触イベントはコロナ禍前に何度か参加したことはある。ただでさえ、ちょっと気になるなっていう声優のところに会いに行くわけで、実際その人から、好きな声を聞いたり、お話したり、あまつさえ手を握られたり(昔は握手会が割と頻繁にあった)したら、いくら相手がビジネスだと分かっていても、入れ込んでしまうのもやむを得ないと思う。実際にそういうビジネスは、オタクが入れ込んでくれることを見越していなければ作らない。

本気で入れ込んでしまうのを「ガチ恋」と呼んで、蔑称のような扱いをされているが、はっきり言って、今の声優業界の一部はガチ恋を増やすことによって、利益を得ているような構造になっているとしか思えない。アニメ・ゲームは時代が変わって誰でも楽しむ趣味になったけど、声優に興味がある人はオタクがほとんどだろうし、そういう人は恋愛経験が乏しい人が多いだろうから、ガチ恋になりやすい。ガチ恋はお金も落としてもらいやすい。

ガチ恋とまでは行かなくとも、好きとか気になってると思っている人はもっと多いだろう。もちろん声優として純粋に応援している人がいるのは否定はしないが、ドル売り声優に対しては、一種の恋愛感情かそれに類するものを持っている人のほうが多数派ではないかと思っている。

そういう感情を持っている人に対して「推し声優に彼氏(彼女)が出来たんだから祝福してやるのが本当のファンだろう」と言っても、それは無理な相談だ。声優に限らず一般人でも、ちょっと気になるなと思っている人に彼氏や彼女がいたら、誰だって多かれ少なかれショックを受ける。声優はアイドルとも違って、芸能界擦れしてないというのもあるから、もしかするとアイドル以上に「こっち側」に近い存在だと無意識のうちに認識していても不思議ではない。

それで、声優とは付き合える可能性なんてないから恋愛的な感情を抱くのはおかしいという反論がでてくるのだが、私に関しては一般人とも付き合える可能性がないので、大差はないため特に問題はない。…別に悔しくなんかない

では、アイドルとほぼ同等なのに「推し声優に恋人が出来たんだから祝福しなさい」という文言が出るのかといえば、これは声優は俳優の一部であると考えている層がやはり一定程度いるからだと思う。声優をアイドルとほとんど同一視して、イベントに参加するのが主たる活動になっているオタクもいれば、声優はやはり声を当てる仕事だからアニメや吹き替えなどの仕事を重視するオタクがいる。これはどっちが正しくて、どっちが間違っているかという問題ではない。声優に求めるものが違うだけなのだ。

鬼頭明里の場合はどうなのか

では鬼頭明里さんの場合はどうだろうか。ソロデビューはもちろんしていてCDは出している。写真集も発刊済み。CDのリリースイベントなどではお話し会などのイベントも開催されている。これはドル売り声優以外の何者でもないだろう。だから、鬼頭明里さんに彼氏がいてショックを受ける人が多いのも当然だと思う。

け、決して私自身がショックを受けたからと言って、自分を正当化しているわけではない。そもそも彼氏じゃなくて、仲のいい友人だし…

ただ、ドル売り声優だからと言って、演技力がないとかそういうことを言いたいのではないことは念のため書いておく。週刊文春によれば、『鬼滅の刃』の竈門禰豆子の演技は専門家には評価されているということだから、実際に演技も優れているのだろう。私は演技の良し悪しがあんまり分からないのでなんとも言えないが。まあ演技があまりにも下手なら、こんなに起用されることはない。あかりんの声は私も好きだし。

ドル売り声優でなければ波風立たず祝福される

ファンにショックを与えず、交際宣言や結婚報告をできる方法もある。それは、ドル売りしないことだ。千本木彩花は23歳という若さで、同じく声優の畠中祐との結婚を発表した。彼女はアーティストデビューもしていないし、写真集も発売していない。過去にお渡し会をやっていたこともあるが、ラジオかなんかのイベントだったはずだから、それ自身が彼女の売上に結びつくものでもない(他にやっていたら教えて下さい)。

ドル売り声優ではないので、結婚報告のときもほとんど荒れなかったと思う。もちろんショックを受けた人もいるかもしれないが、今回のような感じではなかった。アイドル声優になりたくないと発言する声優がたまに出てくるのも、将来のことを考えたら、面倒なことになりにくいという利点があるので分からなくはない。

まとめ

推し声優に恋人が出来たときに祝福できなくても本当のファンではないということにはならないと思う。ただ、CDを割ったり、役の降板を声優に迫ったりする行為は脅迫に近いし、本人のTwitterに凸したりする迷惑行為はもちろんダメである。そういう行為を正当化するために、書いたものではないことをきちんと記しておく。枕を濡らすだけにとどめておきましょう。

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千本木彩花声優業界鬼頭明里
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こえのおと
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