雨宮天『COVERS』昭和歌謡・ポップスに対するリスペクトを感じるカバーアルバム

雨宮天のニューアルバム『COVERS -Sora Amamiya favorite songs-』が発売された。こちらは、新曲のアルバムではなく、雨宮天初のカバーアルバムになっている。特徴的なのはカバーする曲がすべて昭和時代の歌謡曲やポップスということだ。

雨宮天さんは昭和歌謡好きなのはファンにとっては周知のことだと思う。過去には、これまでに3回もの昭和歌謡のカバーライブ『音楽で彩るリサイタル』も開催している。今回のアルバムは、そのカバーライブで披露された中から選ばれた歌謡曲が11曲収録されている。

私は昭和歌謡が流行っていた頃は当然生まれていないのだが、子供の頃から昭和時代の曲は好きだった。家族の影響だったのかもしれない。雨宮天さんのことを好きになって、その後に彼女も昭和歌謡を好きということを知って、親近感が湧いた。雨宮天さんの話を聞いていると、共感することばかりなので、もう結婚したほうがいいんじゃないかと思っている。

さて、このアルバムに収録されているのは次の11曲である。

1. かもめが翔んだ日
2. みずいろの雨
3. フライディ・チャイナタウン
4. たそがれマイ・ラブ
5. 時の過ぎゆくままに –
6. 異邦人
7. 北ウイング
8. 悲しみがとまらない
9. SWEET MEMORIES
10. レイニーブルー
11. 恋におちて -Fall in love-

いつもは、CDのレビューはあまりしないのだけど、宣伝も兼ねて今回はしてみたいと思う。

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COVERS -Sora Amamiya favorite songs-

まず、昭和歌謡は難しい。昭和時代の歌手は一部の例外を除いて基本的に歌唱力勝負だったので、みんな歌が上手い。歌が上手い歌手に合わせて、作詞作曲をしているわけだから、当然歌うのにもスキルが必要になる。しかし、その中でもアルバムに収録されている11曲はかなり高い歌唱力の求められる難易度の高い曲ばかりだと思う。

例えば、雨宮天のイメージカラーは青だから『みずいろの雨』『レイニーブルー』などが入っていると思うのだけど、前者の原曲の八神純子さんは高音の伸びといい、声の圧力といい、昭和ポップスの歌手の中でも群を抜いている。後者は、『壊れかけのRadio』などでも有名な徳永英明だが、独特の声質があり情感たっぷりに歌い上げるのは、簡単に真似できるものではない。

『フライディ・チャイナタウン』は金髪豚野郎のイメージがすっかり強くなった泰葉の曲だけど、こちらも生歌を聞いてみると、高音の鋭さや安定感に圧倒される。『恋に落ちて -Fall in love-』はしっとりとした曲調なのだが、2番の歌詞がほとんど英語なので、これもまた違った難しさがある。どれも名曲揃いなのだけど、私は久保田早紀『異邦人』が昭和ポップスの中でも1,2を争うほど好きなので、収録されていたのは嬉しい。

YouTubeで試聴動画を見てみれば分かるとは思うけど、歌唱力という面から言えば、まあ原曲の歌手には劣るだろう。それは仕方ない。雨宮天はあくまで声優であり、歌手としてデビューしたわけではないから。しかし、それぞれの楽曲を彼女なりの解釈で、しかもほとんどアレンジを加えることなく、逃げることなく楽曲と向き合って、歌い上げている。そこには、昭和歌謡曲に対する大きなリスペクトがある。

下に、過去の『音楽で彩るリサイタル』で披露されたカバー曲の一覧を載せたが、まだ収録されていない曲もたくさんある。アルバムの第2弾を待ちたい。そして、まだ雨宮天が歌っていない名曲もたくさんある。私が聴いてみたいのも、太田裕美『木綿のハンカチーフ』とか、ペドロ&カプリシャス『ジョニィへの伝言』とか、テレサ・テン『時の流れに身をまかせ』とか、まだまだたくさんある。将来的には、昭和最大の歌姫・美空ひばりにも挑戦するのだろうか。

余談だけど、もちょが昭和時代のアイドルソングをカバーするのも面白いんじゃないかと思った。『センチメンタル・ジャーニー』とか『夏のお嬢さん』とか『バレンタイン・キッス』とか『なんてったってアイドル』とか。ちなみに松田聖子の曲はいくつかカバーしており、CDにもなっている。その中で『赤いスイートピー』は豊崎愛生、佐倉綾音、伊藤美来という錚々たるメンバーでカバーしたものがYouTubeにアップされている。

雨宮天さんのファンは若い人も多いから、昭和時代の曲に馴染みがない人もいるだろうけど、このアルバムを機会に原曲も聴いてみて、秋の夜長に昭和歌謡に浸ってみるのもいいのでは。

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異邦人(久保田早紀)
飛んでイスタンブール(庄野真代)
シンデレラ・ハネムーン(岩崎宏美)
かもめが翔んだ日(渡辺真知子)
恋に落ちて -Fall in love-(小林明子)
ルビーの指環(寺尾聰)
Close to you(カーペンターズ)
DESIRE -情熱-(中森明菜)
CAT’S EYE(杏里)

北ウイング(中森明菜)
迷い道(渡辺真知子)
東京ブギウギ(笠置シヅ子)
雨の御堂筋(欧陽菲菲)
SWEET MEMORIES(松田聖子)
ウイスキーがお好きでしょ(竹内まりあ)
Yesterday Once More(カーペンターズ)
雨の慕情(八代亜紀)
飾りじゃないのよ涙は(中森明菜)
フレンズ(レベッカ)

十戒(中森明菜)
プレイバック Part2(山口百恵)
たそがれマイ・ラブ(大橋純子)
時の過ぎゆくままに(沢田研二)
瞳はダイアモンド(松田聖子)
for you…(高橋真梨子)
レイニーブルー(徳永英明)
つぐない(テレサ・テン)
悲しみがとまらない(杏里)
フライディ・チャイナタウン(泰葉)

これも余談だけど、声優で昭和歌謡というと降幡愛さんも思い浮かぶ。彼女は自分の曲で昭和歌謡の精神を体現しようとしていて面白い。レコード盤も発売するなどなかなか筋金入りだ。

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