みんマス(みんなまとめてアイドルマスター)の発展と問題点

「みんマス」はアイドルマスターの中心的スローガンとなっている。「みんマス」はアイドルマスターの歴史の中で様々な意味を持ってきた。しかしながら、「みんマス」を推し進めることで、みんマス主義者と反みんマスの分断も顕著になってきている。「みんマス」という鎖からそろそろ解き放たれてもいい頃ではないだろうか。

アイドルマスターには「みんマス(みんなまとめてアイドルマスター)」という概念がある。これは意味としては、アイドルマスターは様々なバリエーションが存在する(765PRO ALLSTARS、シンデレラガールズ、ミリオンライブ、SideM、シャイニーカラーズなど)が、それらはみんな違っていても同じアイドルマスターだ、ということを意味する。

「みんマス」は最近のアイマスの展開における中心的なスローガンになっている。10月に発売された『アイドルマスター スターリットシーズン(スタマス)』は上記5タイトルのうち、SideMを除く4タイトルの一部アイドルが参加している。ここはあとで言及するが、正確には765が全員で、ソシャゲ系3タイトルからは5名ずつ(DLC除く)である。

1月に配信が開始された『アイドルマスター ポップリンクス(ポプマス)』はツムツムのようなパズルゲームなのだが、これにはSideMも含む上記5タイトルが全員参戦している。

ただ、この「みんマス」という概念は、アイマスのファンの多くからの評判が良くない。ここでは「みんマス」発生の歴史を辿るとともに、「みんマス」の問題点を探っていきたい。

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「みんマス」の発生と発展

「みんマス」という言葉自体は、2007年10月に発売された『ビューティフル塊魂』の曲『団結』の歌詞の一節である。この曲は、ゲーム内でアイマスと塊魂のコラボとして作られたものである。塊魂内でアイマスを紹介するため、歌詞はアイドルの自己紹介曲のような形式になっている。

『塊魂』は街中にあるいろんなものを巻き込んでまとめて大きくしていくゲームだ。難易度がなかなか絶妙で、大きい塊ができたときは達成感がある。システムはシンプルながらも良くできたゲームだ。話はそれたが、つまり「みんなまとめてアイドルマスター」というのは、『塊魂』にちなんだ楽曲だということになる。タイトルの『団結』も塊魂のゲームシステムを意識している。

2010年には『団結』の新しいバージョン(団結2010)が収録された。こちらは萩原雪歩の声優変更や、我那覇響、四条貴音などの新アイドルの追加、亜美真美を分割するなどの『アイドルマスター2』のシステムを踏まえた歌詞変更がなされている。この『団結2010』の歌詞自体が炎上したという過去もあったのだが、それは本筋ではない。興味のある方は、たぶん「団結2010 炎上」あたりで検索すれば出てくると思う。 

『アイドルマスター2』の発売に先立って、アイマスは一度大きな炎上騒動を起こしている。それが俗に「9.18事件」と呼ばれるものである。2010年9月18日の東京ゲームショウで『アイマス2』に関するイベントがあったのだが、そこで男性キャラクター3人の追加(ジュピター)、さらに竜宮小町(双海亜美、三浦あずさ、水瀬伊織、秋月律子)はプロデュースできないなどという衝撃的な発表があった。

『アイマス2』は予定通り発売され、内容もほとんど告知された通りで、アイマスファンの中では葬式のような雰囲気が流れた。その時点における「みんマス」は一種の皮肉であり、ファンにとっては、みんなまとめてアイドルマスターなはずのにアイドルに差がついているという矛盾に対する怨嗟でもあっただろう。

その後、アイマスはソーシャルゲームに展開していく。2011年11月には『シンデレラガールズ』が配信。これが大ヒットして、2013年2月には『ミリオンライブ』もサービスを開始する。2014年2月には『SideM』、2018年には『シャイニーカラーズ』が配信。さらに並行して『シンデレラガールズ スターライトステージ』が2015年9月、『ミリオンライブ シアターデイズ』が2017年6月、『SideM LIVE ON STAGE』が8月に配信された。

様々なアイマスが次々と生み出されていき、アイドルマスターというコンテンツは巨大化していく。この頃の「みんマス」はいろんなアイマスがあるけれども、全部が同じアイマスだから好きに楽しんで欲しいというイメージで使われていた。これが本来の「みんマス」のあるべき姿ではないかと思う。

それは以下のDS版アイマス『ディアリースターズ』のWikiにも、当時の雰囲気がかなり詳しく記されている。ちなみにDS版は、秋月涼というキャラクターが男の娘であることがかなり話題になった。現在は、SideMのメンバーとして活動している。

「みんマス」の問題点

ところが、最近「みんマス」が「全部が同じアイドルマスターなのだから等しく愛されるべき」というような概念に置き換わりつつある。それが、ファン主導でそのような運動が発生しているのならまだ仕方ないのだけれど、運営主導でファンに強要するかのように感じられる。

最初に挙げたスタマス、ポプマスは最たる例であろう。ポプマスに関しては、ガチャからSideMの男性アイドルも排出される上に、女性アイドルと男性アイドルの絡みもあって、拒否感を持つ人が多くいた。もちろん、男性でSideMが好きだったり、女性で765デレミリシャニを好きな人がいることは否定しないのだが、マイノリティなのは間違いないだろう。案の定、売上は低空飛行を続けており、よほどのファンでも担当が出たときだけプレイして引くというようなユーザーが多いのではないかと思う。(まあゲーム自体があまり面白くないというのもあるとは思うが…)

スタマスはSideMが参加していないのだが、別の問題を抱えている。それは「みんマス」を謳っていながら、ASからは全員、デレミリシャニからはそれぞれ5人という不平等感にある。現在アイマスというコンテンツにおいて主流なのはソシャゲ系作品だから、ゲームを売るためにデレミリシャニのアイドルを利用しているように感じられてしまう。

ASも選抜メンバーにするのであれば、まだ平等だと言えるのだが、9.18事件のせいで、ASメンバーを削るということが安易にできなくなっている。なのでコンシューマーのアイマスはASだけで完結した方がいいのでは、と思う。それで売れないというのなら、もはや需要がないのだろう。

「みんマス」というコングロマリット化は、成長期には効率的な手法かもしれないが、はっきり言って、今はアイマスは衰退期に入りつつある。他のスマホゲームが台頭してきたことも理由だろうし、シャニに限っては声優の不祥事も理由かもしれない。この状況で最も実行しなければならないのは、規模をさらに大きくすることではなく、それぞれのコンテンツに注力して再び盛り上げることだと思う。

「みんマス」という概念の成立のための大きなリソースを、それぞれのコンテンツを再び盛り上げるためのリソースに使えばいいのではないか。

そして「みんマス」を推し進めることによって、みんマス主義者と反みんマスの分断も顕著になっている。他のシリーズをやらないのはにわか扱いされているのも見かけるし、かなり強い言葉で「みんマス」を否定している人も散見される。特に前者は、新規参入者にとってはかなりハードルが高い。団結を促すはずの言葉なのに、分断を煽る結果になっているというのは皮肉でしかない。

たかが『塊魂』という1ゲームから出発した「みんマス」という概念にそこまで固執する意味はあるのだろうか。そして、元の意味から完全に離れてしまった。その鎖からそろそろ解き放たれてもいい頃だと思う。

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