ラブライブやアイドルマスターは総選挙という形でファンの気持ちを煽ってきた。自分の推しているアイドルが上位になれば嬉しいし、上位になれば特典があるので、ファンも躍起になる。
しかし、新しく発表された『IDOL舞SHOW(アイドルブショウ)』はチームごとの人気を競い合い、それによってメディア露出量が変化するという、バトルに特化した声優アイドルプロジェクトになっている。
出てきてはすぐ消える泡沫企画のような印象も受けるのだが、参加している声優が割と豪華で面白いメンバーなので紹介することにした。ただ、個人的にはチーム分けのバランスが悪すぎて、バトルになっていない気もする。そのことについても触れたい。
『IDOL舞SHOW』の概要
『IDOL舞SHOW』の設定は、伝説のアイドルユニット「Fool’s End」が解散した後のアイドル戦国時代で天下を取るアイドルを決定するというものである。アイドル戦国時代という言葉から、本当に戦国時代と混ぜてしまったところに些かの安直さを感じてしまう。
天下に近いと目されているアイドルは3組あるらしい。斎藤重道Pによる4人組「NO PRINCESS」、伊達宗人Pによる3人組「三日月眼(ルナティックアイズ)」、真田幸之助Pの10人組「X-UC(テンユーシー)」。しかもなんとそのプロデューサーは本当に、戦国武将の生まれ変わりだったのだ。B級映画の匂いしかしない。
まあ設定はどうでも良い。問題はメンバーである。伝説のアイドルで解散してしまった「Fool’s End」は竹達彩奈と悠木碧が務めている。petit miladyやんけ!プチミレは解散してないのに。
「Fool’s End」は解散しているという設定なので、当然ながらバトルには参加しない。参加するのは前述の3組で、各グループの楽曲売上・ライブ動員数・物販の売上などの総合点によって決まるという。なかなか露骨だ。
企画は『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』などを担当して、作詞家としても活動している中村彼方らが主導になっている。
『IDOL舞SHOW』のグループ
NO PRINCESS
斎藤道三の生まれ変わりなので、アイドル名は濃姫にちなんでいるのだろう。メンバーは、花園ユイカ(三澤紗千香)、星野しほ(倉知玲鳳)、明瀬亜美(堀内まり菜)、胡桃坂らぶ(阿部寿世)の4人。
三澤紗千香は説明の必要がないと思うが、他の3名はそこまで有名ではない。倉知玲鳳はS所属でバンドリのパレオ役、堀内まり菜は、さくら学園というアイドルグループに所属していた元アイドルでアミューズ所属。ライブレボルトのメンバーでもある。阿部寿世はぷりんせす♡たいむというアイドルグループのメンバーらしい。
三澤紗千香はアーティストデビューしているし、倉知玲鳳はバンドリでボーカル、堀内まり菜もアイドルとして活動していたし、阿部寿世はカラオケ大会で優勝の経験があるらしく、歌唱力に定評のある4人が集まっていると言ってもいいかもしれない。
三日月眼(ルナティックアイズ)
伊達政宗の生まれ変わりなので、トレードマークの三日月と別称の独眼竜を掛け合わせたユニット名になっている。メンバーは、綾瀬双葉(木戸衣吹)、若月美鈴(岡咲美保)、金剛寺ゆい(中島由貴)の3人。
こちらはかなり有名な声優を集めている。木戸衣吹はホリプロのエース級ポジションの声優だし、岡咲美保は日ナレ卒業アイム所属「ラジオどっとあい」パーソナリティと順風満帆に声優街道をひた走っている。声優の卵の時に、NHKののど自慢で、水樹奈々のちゅるぱやを披露して話題になったことも有名だ。中島由貴は元アーススタードリームのメンバーで、ブログでも何度か単独記事にして、私の先見のなさを顕にしてしまった。
こちらは歌唱力もさることながら、少しアイドル声優的な要素も入っていて、現在の声優としての人気で言えば最も高いチームになっている。
X-UC(てんゆーしー)
最後は、真田十勇士にちなんだユニット名のX-UCである。十勇士なので、メンバーも10名だ。
メンバーは、羽美野りさ(諏訪ななか)、猿野さくら(花谷麻妃)、星月小春(豊田萌絵)、掛川こころ(長谷川玲奈)、安奈あき(酒井美沙乃)、百合ヶ丘みさき(鈴木杏奈)、霧野しおり(北原侑奈)、八村かをり(青山桜子)、伊佐山エリナ(二ノ宮ゆい)、清見みさ緒(石飛恵里花)である。
X-UCはアイドル方面に大きく舵が切られている。特にAqoursの諏訪ななか、スタイルキューブの豊田萌絵、元NGTの長谷川玲奈、元SKEの北原侑奈、女性声優でナンバーワンのビジュアルと評判の石飛恵里花が名を連ねる。さらにカラオケバトルU-15四天王の鈴木杏奈、アイドルグループFullfull☆Pocketの元メンバーの花谷麻妃、ホリプロの新星の二ノ宮ゆいなどもいて、声優としての実績は多くないが、別の業種で実績を積んできた人がたくさんいる。
YouTube再生回数バトル
現在は、YouTube再生回数バトルが行われている。これは、文化放送のあるラジオ番組に出演する権利をかけて、2019年10月27日から11月30日までの楽曲再生数をYouTubeで競うというものである。対象となる楽曲は次のとおり。
NO PRINCESS
『Truth or Dare』
『Whatever!』
ルナティックアイズ
『トロピカルドリーム』
『FANATIC!』
X-UC
『Smile×Work!』
『カレント・ザナドゥ』
再生回数は楽曲の良さも多少は関係あると思うが、初期段階において、最もビビッドに効いてくるのはメンバーだろう。11月12日の23:30現在において、それぞれの再生数は
NO PRINCESS
Truth or Dare…………4,920回
Whatever!…………………4,524回
ルナティックアイズ
トロピカルドリーム…1,951回
FANATIC!……………2,436回
X-UC
Smile×Work!……………5,908回
カレント・ザナドゥ……8,278回
となっていて、X-UCが圧倒的に多い。これは次に述べるように、グループ分けのバランスの悪さが引き起こしていると思われる。
グループ分けのバランスの悪さ
まず問題なのは人数があまりにも違いすぎることだ。NO PRINCESSが4人、ルナティックアイズが3人なのはまだいいが、X-UCが10人もいる。単純に個々のメンバーの訴求力が同一だとすると、X-UCはルナティックアイズの3.3倍の訴求力がある。実際に現在の再生数を比較すると、X-UCはルナティックアイズの3.23倍となっていて、人数の差がそのまま数値に出ている。
また人数以外にも、X-UCはアイドル的人気のあるメンバーが多い。特に元NGTの長谷川玲奈は現在かなり同情を集めているので、応援する人もたくさんいる。『カレント・ザナドゥ』の動画のコメントを見ると、ほとんどが長谷川玲奈を応援するコメントになっている。
そのほかにも諏訪ななかや北原侑奈といったメンバーにも熱狂的なファンが付いている。人数が多い上にメンバーにも恵まれているのだから、再生数勝負で勝つのは当然だろう。なんとなく、最初からX-UCを売るのを目的にしたプロジェクトなのではないかと想像している。