『ケムリクサ』の円盤初動売上が予想より少なかった理由を考える

2019冬アニメで最も話題になったとも言うべきアニメ『ケムリクサ』の初週の円盤(BD・DVD)売上が発表された。それによると5,752枚で、あれだけ盛り上がった割には微妙すぎる売上に留まっている。アマゾンのランキングでは1位を獲得し、覇権候補と騒がれていた前評判からすると残念な売上なことから、巷では「爆死」と罵られてもいる。この記事では、なぜ『ケムリクサ』がそこまで売れなかったのかを考えてみたい。

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2019冬アニメ売上

2019冬アニメ1巻売上まとめ
15,445 マナリアフレンズ
7,053 五等分の花嫁
6,400 B-PROJECT
5,752 ケムリクサ
4,875 かぐや様は告らせたい
3,287 私に天使が舞い降りた!
1,570 バーチャルさんはみている
1,335 えんどろ~!
1,217 約束のネバーランド
608 ガーリー・エアフォース
530 同居人はひざ、時々、頭のうえ。
527 上野さんは不器用
156 W’z《ウィズ》
ー ブギーポップは笑わない

1位の『マナリアフレンズ』はゲーム「グランブルーファンタジー」の希少アイテムであるダマスカス鋼を付けたドーピングの結果であり、アニメの良し悪しにはあまり関係がない。なお全巻購入特典でヒヒイロカネがもらえる。

すなわち現在のところ実質的な覇権アニメは『五等分の花嫁』になるであろう。作画はちょっと厳しいものがあったが、11話で盛り返した。店頭やネットなどでも品切れが相次いでいるらしい。『ケムリクサ』は『B-PROJECT』よりも少ない4位になっている。

TwitterなどSNSでの盛り上がりから言えば、10,000枚を超えても良いと思えるような熱狂ぶりだっただけに些か心許ない。2018秋アニメに覇権アニメとなった『ゾンビランドサガ』は初動で12,000枚を売っている。

『ケムリクサ』売上の不思議

アニメの円盤の売上予測をするために、Amazonのランキングを活用して予測ポイントを作っているサイトが有る。そこでの予測ポイントは、24,161ptsだった。今期を例に出すと『かぐや様は告らせたい』が4,363ptsで、売上が4,875枚というのを例に出して、購入後キャンセルして、ランキングを水増ししているのではと言っている人もいる。

しかしながら、予測ポイントは実売数とのズレが大きく、『ケムリクサ』はAmazon限定でブックレットなどを付属したために、そこで購入する人が多くなり、結果的にAmazonのランキングも予測ポイントから推定される実売数以上に上昇したものと考えられる。また、転売屋が盛り上がりに目をつけたという可能性もある。限定版をとりあえず確保していおいたが、利益が得られないと踏んでキャンセルしたのかもしれない。

『ケムリクサ』が思ったほど売れなかった理由

品薄による機会損失

では、『ケムリクサ』の売上が少なかった理由を考える。まずは品薄による機会損失である。現在はAmazonなどでも購入できるが、アニメ放送直後などは品薄の状態が一時続いていた。製作陣の見込みよりもムーブメントとなったときに、しばしばこのような自体が発生する。

ただし先程述べたように『五等分の花嫁』もネット、実店舗でも品切状態になっている。『ケムリクサ』はまだ購入できるので、もし機会損失があったならば、2週目以降にも売上本数を積むであろう。

円盤が売れるようなタイプのアニメじゃない

いくら内容が面白くても、円盤が売れやすいアニメ売れにくいアニメというのは存在する。売れやすいのは、キャラクター萌えなどを全面に押し出しているようなアニメで、下賤な言い方をすれば、繰り返し視聴することが見込まれる「愛でるアニメ」「使えるアニメ」である。

これは別にアニメに限ったものではなく、ここ数年は、書籍も売れているのは写真集やレシピ本など実用的なものばかりで、一回読んで終わりの小説はごく一部の作家を除いてベストセラーは出にくくなっている。

『ケムリクサ』も全部見ればキャラクターの可愛さは分かるのだが、やはりどちらかと言えば、ストーリー主体のアニメで、そのようなアニメとは一線を画している。どっちが優れているというのものではないが、円盤売上を考えたときに売れにくい部類のアニメに入るのは間違いない。基本的にファンアイテムにすぎないので、小説などよりもその傾向は顕著だ。

配信で全部視聴できる

『ケムリクサ』はAmazon prime独占で全話を視聴することができる。アニメの配信自体はどのアニメもやっていることなのだが、私はAmazon primeとNETFLIXは円盤売上にとっては、あまりに逆効果だと思う。

NETFLIXに関しては、日本のアニメオタクで加入している人はそこまで多くなく、また一挙に全話配信されるので長期間に渡ってSNSなどで話題になることもない。一方Amazon primeに関しては、加入している人が極めて多く、円盤を購入しなくても全話見返すことができる。加入数が多いということは、それだけ視聴できる人が多いということだからムーブメントになりやすいのだけど、期間限定配信でない場合は、配信サイトで見られればいいや、となり円盤は買わないだろう。

私はアニメの円盤売上を目的としてアニメを配信するのであればAbema TVが最も優れていると思っている。有料プランに入っている人は少ないし、無料で日本中の人が見られて1週間が経過したら削除されるので、もう一度見たいと思う人は円盤に手を伸ばす可能性がある。Abemaは、ニコニコと提携することが決まったので、ぜひ今以上にアニメ配信に力を入れてもらいたい。

まとめ

『ケムリクサ』の初動売上が少なかった理由を考えてみた。理由はいろいろあるだろうが、結局のところ売上なんてどうでもいいのである。『マナリアフレンズ』がつまらないというわけではないが、15,000枚も売れている時点で、円盤売上は有名無実化しているとも言える。

過去に「なぜアニメの円盤は売れなくなったのか?アニメがこの先生きのこるには」という記事を書いたが、今の時代にアニメの円盤を売るのは厳しい。売上やムーブメントでなく、個々人の主観でアニメを評価するべきなのだろう。

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