元祖バーチャルYouTuberのキズナアイが分裂している。今までは一人の声優が一人のキズナアイを演じていたのだが、5月25日から複数のキズナアイが出現。
5月30日の動画では声も分裂させ、そして現在では2人の異なる声のキズナアイが存在している。
声が複数存在することに対しては賛否両論あって、実際に上の動画でも高評価が2,993に対して、低評価が1,231(7月10日現在)と低評価の割合が多くなっている。バーチャルYouTuberは、アニメの役以上に中身も含めて一人の人格であると見なされるので、アニメの配役変更以上の騒ぎになるのも理解はできる。
なぜキズナアイは分裂したのか?
では、なぜキズナアイは分裂したのか?色んなサイトでは同じキャラクターの中に複数の魂が存在するというバーチャルYouTuberの新たな挑戦などと大層な理由付けがなされている。確かにキズナアイはVTuberのパイオニア的存在であるし、そういう意図もあるのだと思う。しかし私はもう少し即物的な考え方をしている。
キズナアイの中の人は春日望であると噂されている。噂とは言えどもほとんど確定事項だろう。春日望はクレアボイス所属の女性声優なのだが、アニメなどにはほとんど出演していない。2015年から2018年までの4年間でモブの出演が6本のみである。ゲームも数少ない。
クレアボイスというキャスティングに強い影響力のある事務所に所属していながら、この本数は明らかに少ない。これはキズナアイの仕事でまとまった時間が取れないためではないかというのが一つと、キズナアイの印象が強すぎるためとも考えられる。
しかし、2019年の夏アニメ『グランベルム』では初めて名前ありのキャラクターを演じている。また2019年の1月から準所属だったのが正所属となり、これから声優として本格的に活動して行くものと思われる。そうなったときにキズナアイの仕事は大きな負担となる。それを軽減するためにキズナアイを分裂させたのではないか。
声優がVTuberをやるということ
過去の記事でも書いたのだが、その記事では次のように書いていた。
VTuberが売れるとその仕事を辞められなくなる。動画のクオリティは落とせないので、今度はVTuberに縛られることになるのだ。またキャラクターのイメージが付きまとってしまう。よってVTuberに出てしまったら声優としての活躍は望めない。
これはVTuber本人が声優になることで解決したように思えたが、現在の声優はイベントなどで顔を晒す必要があるので、全てVTuberを担当するのはやはり難しい。キズナアイは分裂することによって、この問題を回避しようとしているのではないかと思う。
ゲーム部プロジェクトは告知なしで声優変更を行ったが、これには不満が噴出している。ゲーム部プロジェクトの声優変更は労働環境が悪いという問題が原因なのだが、VTuberの声優変更は今まで築き上げてきた人気を崩壊させる危険を孕んでいる。キズナアイの分裂は、ソフトランディングを目指したVTuberの声優変更の唯一の最適案なのかもしれない。