声優がテレビに出るようになったのはなぜか?声優のテレビ進出について思うこと

最近、地上波のテレビ番組に声優の進出が相次いでいる。バラエティー番組にゲストとして呼ばれるだけでなく、声優をメインに番組を制作するところもあるくらいだ。

例えば、5月7日に放送された『中居正広の金曜日のスマイルたちへ』では、青二プロダクションの声優が特集され、三上枝織や津田美波、高野麻里佳など比較的若手の声優を交えて声優24人が出演した。7月13日に放送が予定されている(記事をアップした頃には過去のものになっているかもしれないが)『踊る!さんま御殿』では、楠木ともり、ファイルーズあい、和氣あず未など、あまりバラエティー番組では見ないような声優を含む、総勢12人を呼んでトークを繰り広げるようだ。

※ やっぱり間に合わなかった。『さんま御殿』一応見たが、山寺宏一さんや松本梨香さんなど比較的メディアにすでに多く出ている声優が中心で、若手声優の出番が少なかったのが残念だった。若手の話をもっと聞きたかったと思う。

TBS系列の『新・情報7daysニュースキャスター』は休日夜のニュース番組にもかかわらず、声優の特集を時折組んでいる。私は津田健次郎と花澤香菜の回をたまたま観た。ほかにも取り上げられている声優がいるかもしれない。花澤香菜の特集では『ゼーガペイン』にまで触れられていて、さすが報道番組だと感じさせるものだった。

花澤香菜はゲストとしてだけでなく、MCとしてテレビ朝日系列『バラバラ大作戦「まんが未知」』で、ハライチの岩井勇気とMCを担当している。テレビ朝日は声優の起用に特に積極的で、関智一をMCに据え、『声優パーク建設計画VR部』という声優にフィーチャーしたレギュラー番組を2021年4月から深夜枠ではあるが、放送している。

ゲスト出演を含めれば、数え切れないほどある。ゲストのみならず、ナレーションでも、アニメゲームを主戦場にしてきた声優の起用が目立っている。声優をテレビで見ない日はないくらいだ。なぜ、こんなにも声優がテレビ進出するようになったのだろうか。そして、声優のテレビ進出についての私の意見を載せておきたい。

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声優がテレビに出るようになったのはなぜか?

声優のテレビ進出が進んでいる理由はいくつか考えられる。実は、2020年3月に同様のテーマで1度ブログを更新している。

なぜテレビに若手声優が続々と呼ばれるようになったのか?
若手声優がテレビに出る機会が増えてきている。それもナレーションではなく、顔出し出演でだ。ちょっと前までは、テレビに出る声優と言えば野沢雅子や三ツ矢雄二などのベテラン声優が多く、若手声優がテレビに出るとなったら、それだけでまとめサイトが記事を...

そこでは
・声優の社会的地位が向上したこと
・声優のルックスが向上したこと
・SNSトレンドに載りやすいこと
を挙げていた。

現在における声優のテレビ進出も、これらの理由は依然としてあると思うが、それ以外にもいくつかの理由があるように思う。

『鬼滅の刃』の大ヒット

まず、最も大きいと考えられるのは、劇場版『鬼滅の刃』の大ヒットだ。社会現象と呼ばれるほどのブームを巻き起こして、日本アニメ史のみならず、映画史に残る記録を打ち立てた。そこにはコロナ禍による閉塞感が寄与していると思うが、『鬼滅の刃』をきっかけに声優という職業に注目されることが多くなった。

ニフティが2021年4月に小中学生に、将来なりたい職業を調査した結果によると、声優になりたいと答えた人が全体の6%で、3位だったらしい。なお、その調査では1位がマンガ家・アニメーター・イラストレーターだった。世も末という気がしないでもないが、とにかく『鬼滅の刃』の影響はかなり大きいものと推察される(ソース)。

花江夏樹、鬼頭明里、下野紘、花澤香菜はテレビ出演が多い4人だが、彼らがテレビ出演するときには、それぞれ代表作として竈門炭治郎、竈門禰豆子、我妻善逸、甘露寺蜜璃役として紹介される。テレビ的には『鬼滅の刃』声優というのは、かなり訴求力のあるゲストになるのだろう。

テレビ局の求める視聴者層の変化

テレビ番組の人気の指標は、これまでは主として世帯視聴率を使っていたが、それが最近コア視聴率という考え方に変わってきている。コア視聴率とは主に40代までの若年層における視聴率を意味していて、若年層は高齢者層に比べて購買力が高いために、スポンサーに好まれているらしい。私自身は、本当に若年層は高齢者層よりも購買力が高いのか疑問ではあるのだが、とにかく業界的には高齢者を切り捨てて、若年層向けにシフトしている。

たとえば、テレビ朝日系列の『ポツンと一軒家』は日本テレビ系列の裏番組『世界の果てまでイッテQ』の視聴率を超えたなどと、報道されたこともあるのだが、『ポツンと』の方は高齢者の視聴者が多いため、スポンサー的には『イッテQ』のほうが人気らしい。テレビ朝日は世帯視聴率は高いものの、コア視聴率が伸び悩んでいて、そこが課題となっているようだ。

そこで、声優である。声優を好きな人は小学生から40代くらいまでの若い世代がほとんどであるから、声優をキャスティングすることで、若年層の視聴者が見込める。テレビ朝日で声優の出演が多いのもこのためだと考えられる。最近、バラエティー番組にYouTuberが出演することも多いのだが、それもコア視聴率を狙ってのものだと思われる。テレビに出るようなYouTuberが好きな人は主に20代以下だろう。

これは以前も書いたが、声優がテレビ出演するとTwitterのトレンドにも載りやすい。Twitterはオタク人口が極めて高いためだ。SNSでの話題度もテレビ局はかなり重視しているようで、声優を出演することによるメリットが大きい。

声優のギャランティーの安さ

最後は声優のギャランティーの安さが挙げられるだろう。CMのギャランティーに注目した記事ではあるが、声優は女優よりもだいたい1/5のギャラらしい(ソース)。コロナ禍で広告収入が減り、テレビ局も財政的に厳しくなっているので、ギャラが安く話題性が取れる声優に白羽の矢が立つのは必然なのかもしれない。

声優のテレビ進出について思うこと

以前は声優が番組に出るとなったら物珍しくて、声優もテレビに慣れていないし、ファンも声優がテレビに出ることに慣れていないから、なんだかこっ恥ずかしくなったものだが、最近はそう思うことはめっきり少なくなった。もう出てて当たり前だという感じだ。

ただ声優、特に好きな声優がテレビに出るのを私自身はあまり見たいとは思えない。私が声優を好きなのは、声優が芸能人と一般人の境界線上にいるような、メディア出演できる限界の素人感が好きなので、芸能人のようにテレビにいっぱい出演するとなると、それはもうタレントになってしまったような気がして、なんだが遠くに行ってしまった気になる。もちろん、こっちが勝手に親近感を覚えていただけで、声優はもとから自分の近くにいないことは分かっているのだが、複雑な気持ちなのも、まあ避けがたいファン心理だ。

アニメやゲームはもう人口に膾炙して、それにともなって声優に対する注目度も上がり、声優のテレビ進出の機会はこれからも増えていくだろう。声優として活躍した結果、テレビに出るようになったというのは全然いいことだと思うが、実際に歌手になるために声優を目指す人が増えているのと同じように、テレビに出るために声優を目指す人が増えてほしくはない。

また、声優がテレビに出たところで別に面白くもならないという問題もある。特にゲスト出演の場合は、基本的に物珍しい職業のタレントのひとりとして消費されて、テレビ局に使い捨てされるのは目に見えている。かといって、番組で爪痕を残そうとする声優がいても、なんだか嫌なわけで。そういうところも書こうと思っていたが、もうすでに詳しく書きたいことは書かれていたので、そちらを参考にしてほしい。

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